相続放棄の落とし穴

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相続放棄で弁護士を選ぶ際によくある失敗

文責:所長 弁護士 菅沼大

最終更新日:2025年08月15日

1 相続放棄手続きの本質

 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継することになります。

 そして、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に(これを「熟慮期間」と言います)、相続について単純もしくは限定の承認または放棄をしなければなりません。

 相続の放棄を家庭裁判所で行うと、相続放棄を行った者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。

 なお、相続人が相続財産の全部または一部を処分してしまうなど、法定単純承認に該当する行為を行うと、相続放棄はできなくなります。

 例えば、相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出したのが熟慮期間経過後だった、相続財産である預貯金300万円を引き出して車を買ってしまった、などの理由で相続放棄の申述が受理されず相続放棄が認められなかったとしても、そもそも相続放棄の申述を行わなかった場合と比べて不利益を受けることはありません(もちろん、手続を行う際に必要となった費用は無駄になります)。

 また、相続放棄の申述が受理されたとしても、それによって相続放棄の効果が確定したわけではなく、それを争う場合は、民事訴訟で最終決着をつけることになります。

 

2 相続放棄手続きの本質を理解した上でアドバイスができるかどうか

 次のようなケースを考えてみましょう。

 被相続人Aは賃貸マンションに住み、駐車場を借りて15年前に購入したほとんど市場価値のない軽自動車を保管していましたが、マンションの他の住人に迷惑をかけるので、唯一の相続人であるBは、廃車の手続きをしました。

 なお、Aには車以外の財産はほとんどなく、300万円くらいの借金がありました。

 このようなケースで、相続放棄の本質についてあまり理解していない専門家に相談してしまうと、「相続財産である車を廃車する行為は法定単純承認に該当するから相続放棄はできない」とのアドバイスを受け、相続放棄を諦めてしまうことにもなりかねません。

 しかし、相続放棄の申述を受理することは相続放棄の効果を確定するわけではないですので、家庭裁判所は広く申述を受理する傾向にあります。

 そして、相続放棄の申述を行うことによる不利益はほとんどないのですから、この事案では、車の市場価値がほとんどないこと、マンションの他の住人に迷惑をかけていたことなどを資料とともに示して、民法が法定単純承認として定める「相続財産の処分」には該当しないと裁判所に説明して相続放棄の申述をやってみるとよい、とアドバイスすることが正解になります。

 相続放棄は、例えば破産手続や民事訴訟手続と比較すると単純な手続きですが、弁護士を選ぶ際は、相続放棄の手続きについて熟知している弁護士に相談することが大事と言えるでしょう。

相続放棄でかかる費用

文責:所長 弁護士 菅沼大

最終更新日:2025年08月08日

1 はじめに

 相続放棄の申述手続を相続人ご本人が行う場合、その手続きにかかる費用は実費(印紙代、郵便代、戸籍等の取得費用など)のみとなりますが(もちろん時間もかかります)、本稿では、弁護士に依頼して弁護士が依頼者の代理人として相続放棄の申述手続を行う場合にかかる費用についてご説明します。

 

2 弁護士報酬

 弁護士に何らかの事件の処理を依頼する場合、弁護士報酬は必ず必要になります。

 弁護士報酬の種類には、着手金、成功報酬金、手数料などがあります。

 相続放棄の申述手続の場合、弁護士のメインの報酬として着手金または手数料がかかることになり、熟慮期間が過ぎていたり、遺産の処分を行ってしまったりしている案件など困難な事案の場合は成功報酬が別途設定されることもあります。

 メインの報酬以外としては、裁判所に出頭が必要になった場合の出廷日当や、戸籍等の書類取付を弁護士が行う場合の書類取付手数料などがあります。

 相続放棄の申述手続の場合、弁護士のメインの報酬である着手金または手数料や、手続にかかる実費等の見込額は基本的に委任契約時一括払いとなります。相続放棄の手続きには期間制限があり、また申述手続を行えば分割払いでの対応は難しいからです。

 

3 実費

 相続放棄の申述で必要になる実費には、裁判所に納める800円の印紙や予納郵券、申述書を送付する際の郵便代などがありますが、相続放棄の手続きでは、被相続人の死亡が記載された除籍または戸籍、被相続人の死亡時の住所が記載された除住民票または戸籍の除附票のほか、申述人が被相続人の相続人であることを示す戸籍類も必要になります。

 例えば、第一順位および第二順位の血族相続人が被相続人の死亡前に全員死亡していた場合、第三順位の血族相続人は、第一順位および第二順位の相続人が全員死亡していることを示す戸籍類を収集し提出しなければなりません。

 この場合、市役所等との郵便でのやり取りや、定額小為替の費用がかなりかかることがあります。

 実際にどの程度の実費等がかかるのかにつきましてはケースバイケースとなりますので、担当の弁護士にご確認ください。

相続放棄にかかる期間

文責:所長 弁護士 菅沼大

最終更新日:2025年01月07日

1 相続放棄にかかる期間の概要

 家庭裁判所に相続放棄申述書等を提出してから、相続放棄申述受理通知書の交付を受けて相続放棄が終了するまでの期間は、おおむね1~2か月です。

 相続放棄の準備には1か月程度かかることもありますので、準備期間も含めると相続放棄にかかる期間は1~3か月程度となります。

 準備にかかる期間は、被相続人との続柄や、相続の開始を知った経緯などによりある程度異なります。

 以下、相続放棄にかかる期間について、詳しく説明します。

 

2 相続放棄の準備~相続放棄の申述

 相続放棄をするためには、基本的には相続放棄申述書を作成することと、戸籍謄本類を収集することが必要となります。

 集めなければならない戸籍謄本類は、被相続人と申述人の続柄によって変わります。

 被相続人が申述人の親である場合、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本と、申述人の現在の戸籍謄本のみ必要です。

 被相続人が申述人の子または兄弟姉妹である場合には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と、申述人の現在の戸籍謄本が必要となります。

 この場合には、戸籍謄本の収集に1か月以上の期間を要することもあります。

 また、被相続人の最後の住所地を示す住民票除票または戸籍の附票も必要ですので、戸籍謄本の収集と並行して収集します。

 

3 相続放棄申述~相続放棄申述受理通知書受け取り

 相続放棄に必要な書類を家庭裁判書に提出すると、まず書面の形式的な審査が行われます。

 必要な書類が足りていないなどの不備があるといった場合には是正を求められますので、しっかりと対応します。

 その後、相続放棄申述書等の内容の審査が進められます。

 場合によっては、相続放棄申述書等を提出してから2週間~1か月後くらいに、家申述人に対して相続放棄に至った事情等に関する質問状が送付されることがあります。

 質問状に回答内容を記載して家庭裁判書に返送した後、相続放棄の申述の内容に問題がないと判断された場合には、2週間~1か月程度で相続放棄申述受理通知書が発行されて相続放棄の手続きは終了します。

 

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亡くなった方が多額の借金を残していた場合や、亡くなった方とは疎遠で遺産の内容が分からない場合、また、相続に関わりたくない場合などは、相続放棄を検討してもよいケースです。
ただ、相続放棄は資産も債務も一切受け継がないという強力な効果を持ち、一度受理された場合、撤回することはできません。
そのため、相続放棄すべきかどうかという点については、慎重に検討する必要があります。
藤沢にお住まいで、相続放棄について弁護士への相談をお考えの方は、当法人までお気軽にお問い合わせください。

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